建設業界の今の状況を知るのは建設工事の受注動向が重要な点となります。受注動向は建設業界でどれだけの仕事があったかを示すもので、受注動向は業界全体の業績を占う上での先行指標となるのです。工事受注は、いずれ完成工事高(売上高)として計上され、利益が決まるためです。
建設工事受注統計には国土交通省が集計するものと、日本建設業協会がまとめる統計の2種類があり、どちらも月次ベースと年度ベースで大手である40~50社の受注動向をまとめて公表しています。
ここ数年、受注推移は徐々に減少しているといった傾向になっています。減少している理由は、公共工事の減少と民間設備投資の低迷によるものが大きいです。構造不況的な要因を指摘する声もなかにはあるようです。
また、バブル経済の後遺症である過剰設備投資、過剰借り入れに苦しんでいる企業も多いのです。株価が額面割れしている会社も多くあります。
業界全体は総合建設(ゼネコン)、建築系、土木系、港湾土木系、設備工事、住宅建設で構成されています。
ゼネコンは、大成、大林、清水、鹿島がスーパー4社と言われており、竹中、熊谷がこれに続きます。建築系は長谷工、などが代表的です。土木系は、間組、西松などがあげられます。海洋土木系では五洋、東亜などで、設備工事は空調・電気設備・通信工事に細分化され、日立プラント、関電工、日本通信建設などがあります。住宅は大和、積水、ミサワなどです。ここで上げた以上の企業は株式上場クラスですが、中堅・地場・中小・零細を含めますと、日本の建設会社数は50万社ほどに達すると言われています。
また、そこに従事している社員、関連従業員も大変多く、裾野が広いです。バブル崩壊後の不況対策として公共事業が盛んに行われた理由も裾野の広さにあります。
公共事業依存から脱却と民間工事の開拓が今後の業容拡大のキーポイントとなります。さらに個別企業によっては借入金返済などの財務内容の改善が最大の焦点となっています。
公共工事は徐々に減少している傾向にあるといいましても、まだ日本の社会資本は立ち遅れた部分がありますので、不要不急の公共事業とを選別して考えなくてはいけません。