俗に電・博(でんぱく)と言われるほど業界1位の電通と博報堂の力が抜きん出ています。新聞、雑誌、テレビ、ラジオのマス媒体を利用し、広告業界を代表する勢力です。
このほか、広告媒体には交通広告、ダイレクトメール、インターネットなどがありますが、中でもインターネット広告は、それぞれに大手、中小の代理店が存在し、6兆円を超える市場規模を持ちます。利用度も上がり、前4種のマス媒体の寡占状態を崩す勢いがあります。
テレビ媒体には広告主や広告代理店としての外資が参入しました。いわば広告業界の黒船として業界構造を揺さぶり始めています。
ある広告代理店のトップによりますと、放送メディアに関して媒体の確保、広告主との関係など資金の流れから制作の受発注まで全部が、某代理店1社のブラックボックスの中にあったと言います。しかし、商慣習の違う外資の本格参入がブラックボックスを解体し、大手が押さえていた放送広告の牙城が崩れる可能性が出てきました。
広告市場は多少、景気変動の影響を受けるものの比較的安定しています。ただ、インターネット広告が浸透してきたように、広告媒体が多様化しているのも事実であり、媒体間の競争は今後、一段と激化しそうです。
やはり外資の動きが焦点となります。その動きは黒船に例えられています。
これまでの広告業界はある意味で鎖国状態にあったと言っても良いでしょう。しかし、外資の参入本格化によって広告業界はメディア・プランニング能力、クリエイティブ能力、ブランド管理能力がグローバルな視点で問われることになり、国際的な競争に晒されることになるのは間違いありません。